私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「だから? 許嫁を、解消するとでも?」
「ああ。俺とレオドール。二人のうちどちらか一人を、エルネットに選んでもらおう」

 勝算がなければ、あちらもこのような提案などしないだろう。
 こいつは信じている。あの子が自分を選ぶと。

「好きにしろ」

 彼女の許嫁でいた間、兄は俺が得られなかった幸せを堪能してきたのだ。

 ――すべてが終わったあと、後悔すればいい。

 皇太子の座も、エルネットも。
 すべて俺の手に収めた時。
 あいつがどんな顔をするのか――楽しみだ。

 兄に背を向け口元に歪な笑みを浮かべた俺は、こうして彼女に真正面からぶつかって行ったのだが――。

 ――残念ながら、状況は芳しくなかった。

 俺達には長い間、啀み合っていた過去がある。
 どうやらそれが尾を引いており、どれほど愛を囁いたところで、素直に受け入れられないようだ。

 うまく行かない日々に苛立ちこそを感じるものの、エルネットとこれほど長い時間を交わせる機会など、今まではほとんどなかった。
 兄と許嫁を解消した今なら、自身の想いを内に秘める必要などないと思ったら――。
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