私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
 どれほど嫌悪されたとしても、彼女の姿を目にするだけで嬉しくて仕方ないのだから。重症にも程がある。

 ――早く俺の元まで、堕ちてこい……。

 仄暗い感情を胸に懐きながら、俺は彼女の口から発された言葉を思い浮かべる。

『あんたなんて、大嫌い!』

 最近は彼女からそう呼ばれると、脳内で好きだと変換されて記憶されるまでに、進化しつつある。

 ――意地っ張りで、素直じゃない。
 そんなところも、かわいくて仕方がなかった。

 ――俺のエルネット。俺だけの、愛しき太陽。

 ああ。早く腕に懐き、誰にも奪われぬように閉じ込めてしまいたい――。

 この言いようのない想いを、発散するために。
 王城の外れに位置する、よく手入れの施された野原へ向かい――そこで兄と、彼女の姿を見た。

「レオドールは、本気だよ」
「ええ……? これからも、積極的に言い寄ってくるの……?」
「うん。弟と結婚したくないのであれば、僕ら以外に好きな人を作らないとね。できるだけ、早く」
「そんなことを、言われても……」

 あいつは俺に、どちらか一人を選んでもらうと宣言したくせに……。
 エルネットには他の男へ目を向けるように誘導し、自分のよさを遠回しにアピールしていた。
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