私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
 ――嫉妬心を拗らせた影響か。
 エルネットの唇に、噛みつこうと試みれば。
 急に距離を縮めすぎたのだろう。
 逃げられてしまった……。

 それを残念に思うと同時に、彼女を欲する想いがより強くなっていくのを感じる。
 これが手に入らないほど、相手を求める気持ちか……。

 俺は感慨深い思いに苛まれながらも、次はいつ彼女へ会いに行こうかと視線を巡らせ――。

「ああ、よかった。やっと見つけた」

 会いたくない人間に、声をかけられた。
 高揚していた気分は、一気に急降下する。
 忌々しい兄の姿を目にした俺は、あいつを威嚇した。

「なんのようだ」
「エルネットから聞いたよ。僕の婚約者に、興味があるんだって?」

 嬉々として俺に声をかけるあいつの言葉を理解するまで、随分と長い時間がかかった。

 ――こいつの婚約者、だと?

 その人物は、間違いなく女だ。
 エルネットが兄にそんな内容を口にしたのであれば、こいつと寄りを戻そうとしている可能性がかなり高い。

 こんなくだらん小細工に、負けてたまるか。

 今すぐに怒りをぶつけたい気持ちでいっぱいになった俺は、あいつと乱闘にならないように背を向けようとしたのだが――。
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