私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「失せろ。俺は貴様と、交流を深める気はない」

 傷つけようが、泣こうが、俺の知ったことではない。
 アフターケアは、いつの間にか妹と婚約者していた兄がするだろう。

「あ、あの……。わたし……」
「二度と顔を見せるな」
「レオドール! エルネットのかわいがっている妹に、なんて酷い態度を……」

 俺ばかりを悪者にしたいようだが、こいつだって相当この女に不誠実な対応をしているのは明らかだ。

 ――愛しているのは姉であるエルネット。
 一時的に好きでもない妹と婚約を結んだのは、恐らく彼女を嫉妬させるためなのだろう。

「わ、わたし……。ご、ごめんなさい……」

 瞳から大粒の涙を流して嗚咽を漏らすこの女は、気づいているのだろうか? 
 ここに姿を見せてから、あいつがこいつの名前を、呼んでいないことに。

 愛がないのは、明らかなのに――。
 あわよくば俺達を手玉に取ろうと画策するこの女は、相当の腹黒と見た。

 このままこいつと一緒に、地獄へ落ちてしまえばいいのに。
 苛立ちながら兄の不幸を願った俺は、宿舎をあとにした。
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