私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「エルネット……」
「ん……」

 狂しいほどに彼女を求める、歪な想いを載せて名前を呼べば。
 その声に反応したエルネットは、ゆっくりと目を覚ます。
 パチクリと瞬きを繰り返すその姿すらも、愛おしくて堪らない。

「起きたか」

 状況を把握しようと必死になっているその表情を、独り占めするのも悪くないが――。
 やはり、人形のようなエルネットよりも。普段の明るく元気で、俺に対して意地っ張りな姿を見せてほしい。
 そう実感した俺はあえて彼女の目元に口づけ、エルネットの反応を窺った。

「な……。え、何……? レオドール……?」

 普段はあいつ、こいつ、と。
 名前ですら呼ばれないのに。
 久方ぶりに愛する人の唇から自身の名が紡がれると、これほど嬉しいものか。
 自然と口元に微笑み浮かべれば、こちらを凝視するオレンジ色の瞳と目が合った。
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