私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「俺が笑うのを見るのは、そんなに珍しいか?」
「だ、だって……。あんたはいつも、もっと意地汚い笑みを浮かべるのが得意じゃん……」
「悪魔の微笑みと言え」

 こいつは俺が笑うと、普段はほっとした様子を見せる。
 それはいつも、俺が苛立っているからなのだろう。

 今日の彼女は、寝起きで頭が回っていないせいか。
 目を白黒させて、俺の笑顔を直視しないように戸惑っている。
 俺はなぜ、普段と異なる反応をするのか不思議でたまらなかったが――その理由には、視線を追いかけていればすぐさま思い当たった。

 彼女は恐らく、照れているのだ。
 俺の無邪気な微笑みを見るほうが、好きなのかもしれない。
 その証拠に、エルネットの頬は赤みを増している。

「そんなに好きなら、これからはこう言うふうに笑ってやる」
「いや……。いいよ……。無理にキャラ、作んなくて……。そんな、アルベールみたいな……」

 気分を良くした俺が、微笑みを深めて提案すれば。
 彼女の唇から忌々しい男の名が紡がれた瞬間、俺の機嫌は急降下していった。
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