私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「ファーストダンスは、婚約者と決まっている」
「私と踊りたいなんて、変わってるね……」
「変わり者で、結構だ。公衆の面前で堂々と君と密着できる機会を、俺が逃すはずもないだろう」
「はいはい。レオドールは私がだいしゅきですねー」

 人前でわざと、煽ってやったのに。
 あいつはその手には乗らないと言わんばかりの真顔でスルーすると、ダンスが始まるのを待つ。

 ーーこうして背筋をピンと伸ばしていると、様になるから困る……。

 ちょっとかっこいいとか、思っていないんだから。
 私は頭に浮かんだ感想を打ち消すべく。
 苦虫を噛み潰したような表情をしながら、彼に問いかけた。

「と言うか。あんたってさ。ちゃんとステップ、踏める?」

 レオドールと言えば、やはり注目するべきは驚くべき身体能力だろう。
 接近戦であれば、まず右に出るものはいない。
 長距離戦と魔術に秀でた私とは、真逆の才能を持っているけど……。
 そんな彼が女性と軽やかにダンスを踊る姿は、目にした記憶がなかった。

 ――ダンスホールの中央で、恥をかかなきゃいいなぁ……。
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