私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
 そんな想いを抱きながら、あいつを心配そうに見つめていれば。
 こいつはその不安を吹き飛ばすように、私を中央に向かって引っ張っていく。

「馬鹿にするな」
「わ……!」

 苛立ちを隠しきれない様子で吐き捨てた彼は、ついにダンスホールへ躍り出た。

「エルネット?」

 アルベールは弟と一緒にいる私を、驚きを隠しきれないように見つめ。

「お姉さま……」

 雪のようにほんわかとした幸せオーラを纏っていたマリンヌは、どうして隣でダンスを踊るのかとこちらを責めるように瞳を潤ませる。
 このままだんまりを決め込んでいたら、泣き叫ばれてしまいそうだ。

「ち、違うの。落ち着いて! マリンヌ。私達は、そう。あなたの引き――」
「誰が引き立て役だ。主役は俺達に、決まっているだろう」
「わ……っ!?」

 せっかく妹の敵ではないと証明するため、全面降伏を宣言しようとしたのに! レオドールのせいで、台無しだよ! 

 彼は私をしっかりとホールドすると、スタンダードなワルツに合わせて軽やかなスリーステップを踏む。

 ――私達は初めてパートナーを組んだとは思えぬほど、息をぴったり合わせて身体を動かす。
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