私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「アルベール、様……。わたし、達も……」
「あ、ああ……」

 その様子を見かねたアルベールとマリンヌも足を動かし始めたが……。
 散歩すらもまともにしたことのない妹に、激しいステップなど踏めるわけがない。
 レオドールがフロアを縦横無尽に駆け回るたびに、壁の花達の視線が彼に集中する。

「ちょっと……みんな、見てるよ……」
「ああ。普段はお転婆なエルネットの淑女としか思えぬ姿に、誰もが釘づけだ」
「私は最初から、淑女ですー!」
「ふん……。どこが……」

 ドレスアップしたレオドールがちょっとかっこいいと見直した私の気持ちを、返してほしい。
 普段通り憎まれ口を耳にしたらいろいろと台無しだよ! まぁ、彼を不機嫌にさせたのは、私なんだけどね……。

「まぁ……。そんなところもかわいらしくて、仕方ないのだがな」

 私達は雑談をしながら、即興で基本のステップを踊る。
 アルベールとのダンスは、いつだってぎこちなかったけれど――レオドールとのダンスは、すごく楽しい! 
 そう感じるのは……彼とは無駄口を叩き合える関係だから? 

「エルネット……」

 元婚約者から切なげに名前を呼ばれた私は、アルベールと妹に視線を移す。
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