私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
 私は大声で、声を張り上げる。

「魔力を持たない人々は、今すぐ会場から出て!」

 なんの前触れもなく、至近距離で金切り声を耳にしたからか。
 レオドールは露骨に顔を顰め、不快感を露わにする。
 普段であれば、言葉を重ねてきっちりとアフターケアをするが……。
 今日は残念ながら、そんなことをしている余裕などなかった。

「私は魔法ラボの天才魔術師、エルネット! この会場で、黒魔術を使う魔女の魔力を確認したの! 全員、今すぐ従って……!」

 貴族達が命令に従わず、ざわついている間にも。
 黒い靄は人々を覆い隠し――口から体内へと吸収されていく。

 呪いが全身に行き渡るまでは、タイムラグがあるけど……。

 比較的軽症な人々を浄化するのに魔力を消耗するのは、得策とは言えなかった。

 ここにいる貴族のうち、誰か一人でも黒魔術に侵された重症者が現れたら――きっと、助けられないからだ。

「転移魔法が使える者は、魔法ラボと詰所へ向かえ! それ以外の者は魔力量の少ないものから順番に、焦らず退出しろ!」

 すぐさま状況を把握したレオドールが、怒声を響かせる。
 彼らはなぜ第二王子の命令を聞かないといけないのかと、難色を示しているようだったが――。
< 171 / 241 >

この作品をシェア

pagetop