私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
 ――今なら、なんとかなるかも。

「もう少し、時間を稼いで……!」

 私は彼に背中を預け、魔術を展開する。
 縦横無尽に蠢く2組の男女それぞれに、解呪の魔法を同時にぶつける必要があるのだ。
 涼しい顔をしながら、できるような芸当ではなかった。

「剣があれば……っ」

 あいつもヒットアンドアウェイを繰り返す彼らと、何度も拳をぶつかり合わせているが――。
 相手が貴族だからと言うのもあるのだろう。
 大怪我を負わせるわけにもいかず、苦しそうな声を吐き出した。

 ――レオドールの愛剣は確か、ラボ長が唱えた魔術払いの加護が付与されているはずだから……。
 あれがないと、闇の魔力へ飲み込まれてしまいそうになるからか……。
 黒魔術と相性のいいこいつは彼らと戦うのがだいぶつらいのだろう。
 
「第二王子特権で剣の帯同くらいは許してもらってから、夜会に参加してよ!」
「過ぎたことを悔やんでも、仕方ないだろう!」

 窮地に追い込まれた私達は、ご尤もな言い合いをしながら啀み合う。
 あと少し。そう焦る気持ちで集中力が削がれてーー。
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