私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「エルネット。こいつらの処遇は、俺に任せておけ」
「やだよ! あんたに任せたら、個人的な恨みも加算して、二人を酷い目に合わせるつもりでしょ!?」
「……ふん。俺のエルネットに、牙を向いたんだ。報いを受けるのは、当然だろう」
「黒魔術を使ったのは、悪いことだってわかってる! でも、マリンヌは私の大事な妹なの!」
「ーーくだらんな」

 どうにかしてあの子の願いを叶えてやれないかと声を張り上げたが、私の主張は彼の放った5文字によってあっさりと棄却される。
 頭に登っていた血が、さっと引いていくような感覚がしたのはーー彼がその後に紡いだ言葉が、私の心を揺れ動かしたからだ。

「それを許せば、あの男にも同じことが言えるだろう」

 レオドールは恐れている。

 私が兄と、結ばれるのを。

 アルベールが黒魔術に手を染めたのは、私のせい。
 そんな罪悪感を解消するために、兄の隣に寄り添いたいと言われるのだけは、絶対に避けたかったのだろう。

「俺は絶対に、許さん」

 ーーそんなこと、言うわけがないのにね。
 妹の願いは、アルベールと一緒にいること。
 私は邪魔者でしか、ないんだから……。
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