私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「真正面から、受け止めろ。これはエルネットの、得意分野なはずだが」

 これが恋をした時の息苦しさだとは、思いたくない。
 これは、そう。急に異性に迫られて驚いているだけだ。

 彼から強引に迫られ、喜ぶなんてあり得ない。
 そう、信じたいのに……。
 全身に熱が灯るのを、止められない。

「だ、だって……。こんなの……」
「おかしくない。俺の気持ちを、見て見ぬ振りをしてきただけだ」

 ーーこいつの言っている話は、本当なんだろうか? そんな素振り、一度も見せなかった癖に。
 逃げ道を塞いで、好きだ、愛しているって。バカの一つ覚えみたいに囁いて。こんなの、卑怯じゃない?

「こう言うところが、嫌いなんだってば!」

 苛立ちを隠しきれなかった私は、ついにその怒りを爆発させた。

「あんたはいっつも、自分のことばっかり!」

 相思相愛の夫婦になりたいと願うなら、一方的に愛をぶつけるのではなくーー私の意見も聞くべきだ。
 それが無理なら、言い寄る資格すらない。

「あんたなんて、絶対好きにならないんだから!」

 一発お見舞いしたところで、その手が掴まれて防がれるのは重々承知の上だ。
 だからこそ、私は睨みつけるだけに留める。
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