私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
 あいつは取りつく島もなく、怒りの矛先を私に向けてきた。

「うーん……。それも、悪くないかなって……。ほら。アルベールはあんたみたいに、すぐ怒らないでしょ? 優しいし、紳士的。お互い似た者同士と夫婦になったほうが、幸せに――」
「ふざけるな……!」

 鬼の形相で威嚇したレオドールは、つかつかと苛立ちを隠せない様子で私の元へと歩み寄る。

「え。ちょっと、待ってよ。落ち着いて……」

 ――なんでそんなに、怒ってんの?
 本気じゃないんだけど。
 あくまで冗談って言うか。ただの提案なのに。

 戸惑いながらも椅子から立ち上がり、あいつを宥めようとした私を床に押し倒した彼は、低く唸るように声を震わせた。

「あの男と比べるな……! エルネットを幸せにしてやれるのは、俺だけだ……!」

 彼の発言を耳にした私は、ようやくレオドールが怒り狂った理由を悟る。
 あー。そっか。アルベールの名前を出したからか。
 コンプレックスの塊だもんなぁ……。
 生きづらくなるだけだから、私といる時くらいは肩の力を抜いてほしかったのに。
 彼は幼い頃からずっと、兄と自分を比べて苦しんでいる。
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