私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「わ、私は悪くない。あんたが……」
「貴様など、その気になればいくらでも組み伏せられる」

 だが……。
 彼は私が見せた弱みを、見逃してはくれなかった。

「私に勝てると、本気で思ってるわけ?」

 精一杯強がったところで、私がこの状況を打破するには魔術を使うしかないわけだけど……。
 今は深夜だ。逃げる場所の宛など、どこにもない。

「夜間の魔術使用は、禁じられているはずだが」
「緊急事態での利用は、認められてるよ」
「これのどこが……」
「どう考えても、明らかに身の危険を感じる状況でしょ。私、第二王子に襲われてるんだけど」

 どうにか魔法を使わずに彼を言いくるめられますようにと、願いながら。
 必死にその気はありませんと態度で示すが……。
 彼は待てど暮らせど、手を休める気配がない。

「俺達の結婚は、決まったも同然だ。素直に認めて、楽になれ」

 むしろ、エンジンフルスロットルで二人の間に隔てられた分厚い壁を、突き破る勢いで迫ってきている。

 ーーこの状況で、どうやってこいつの求婚を断ればいいの?

 困った私は彼の地雷を思いっきり踏んで、騒ぎを大きくするしかないと決断した。
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