私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「ど、どうしよう……。今日は、エルネットと会う日なのに……」

 ――アルベールと許嫁の初対面は、問題なく終わったらしい。
 緊急事態が起きたのは、2回目だ。
 使用人に呼ばれてあいつの部屋に顔を出せば、高熱に魘される情けない兄の姿を見る羽目になった。

「ドタキャンなんてしたら、父さんにどやされる……!」

 あいつは許嫁に嫌われて、エルネットが他の男の元へ嫁ぎたいと言われたらどうしようと怯えている。

 ――このまま大目玉を食らって、皇太子でなくなればいいのに。

 そんな邪な考えを巡らせた俺は、すぐさまこれはチャンスだと気づく。
 俺達は双子の兄弟だが、髪色と瞳の色が異なる。
 変身魔法を使わなければ、すぐに別人だとバレてしまうだろうが――。
 幸いなことに、顔立ちはよく似ていた。
 おしゃれの一環だとでも言えば、幼い子どもならいくらでも言いくるめられるはずだ。

「俺が貴様に、成り代わってやろうか」
「レオドールが、僕、に……?」
「ああ。アルベールとして許嫁に会えば、本物が寝込んでいても面子は保たれる」
「……いいの……?」
「ああ」

 アルベールは俺の代理を了承することなく、ゆっくりと目を閉じた。
 熱に浮かされた状態では、長々と会話をするのは限界だったのだろう。
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