あざと泣き虫令嬢はサイコーな黒王子に歪んだ溺愛をされる

恋の矢印

ウィリーはあまりにもリゼルアが可哀想で仕方がない。ダメで元々だが、ルナアークに質問をする。

「なあ、殿下」
「ん?」
「嬉し泣きじゃダメなのかな?」

表情は無いが、「その手があったか!」という反応をするルナアーク。

♪♪♪

「最近、ルナアーク殿下が優しいのっ!!」

目をキラキラとさせ、エメリに報告するリゼルア。

一応、リゼルアとルナアークは両想いではあるが、恋の矢印がひん曲がっている。
ある意味での歪んだ愛情はリゼルアだけが知らない。

放課後にまた女子数名に絡まれ、なじられたリゼルア。ルナアークの後ろ盾があるので、あまり酷い事はされていない。けれど、リゼルアは悔しくてしょうがない。
リゼルアが泣いているとルナアークが慰めてくれる。

「また女子にイジメられたのだね」
「うっ、うっ殿下ぁ」

ルナアークがリゼルアの見えない所で親指を立てる。誰だか知らないがグッジョブという意味だろう。

それを見たウィリーは引く。
何故ならルナアークがちょっかいを出した女子がリゼルアに絡んでいたのを知っているからだ。浮気などは一切していないが、リゼルアいびりの真の元凶はルナアークなのである。

「可哀想に」

そう言いながらリゼルアの頭を優しく撫でるルナアーク。
リゼルアはボロボロと涙を零し、ルナアークに抱きつく。
はたから見るとイジメを受けたリゼルアを慰めている、良い婚約者である。
< 8 / 25 >

この作品をシェア

pagetop