裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
遼一から着信が入ったのは、歩美から見合いの話を聞いてから一週間後の勤務中、仁美と入れ替わりで昼休憩に入った時だった。
航空会社以外の空港勤務者には共同のスタッフルームがある。そこで空いている席につき、ランチ用に持ってきたおにぎりを机に出した時に携帯が震えたのだ。
昼間に彼からいきなり電話をかけてくるのははじめてだが、和葉にはその理由に心当たりがあった。
ふーっと息を吐いて、緊張しながら画面をタップして耳に当てる。
「はい」
《和葉⁉︎ あれはいったいどういうことだ?》
予想通りの彼の言葉に、和葉は彼に「ちょっと待って」断ってから席を立つ。
非常階段のマークが書かれているドアを開いて外へ出た。向こうの建物が迫る外階段のこの場所は、めったに人がこないけれど、さすがに少し寒かった。
「お待たせしました。弁護士さんからの受任通知の件ですよね」
《そうだ。弁護士ってどういうことだ? 話すと言ったのに先週連絡できなかったからか?》
彼の電話の用件が予想通りだとわかって和葉は携帯を持つ手に力を込めた。
歩美から見合いの話を聞いた和葉は、以前から調べて念のためコンタクトをとっていた親権問題に詳しい弁護士に依頼したのだ。
本当は、自分でけじめをつけたかったけれど、もう自分にはその資格はないと思ったからだ。
歩美に対して申し訳なくて、もう自分は彼に会うべきではないと思った。
とはいっても、望んでいるのは今までと同じように樹と交流してもらいたいことくらい。あとは彼の望む通りに、たとえば再会してからの件を一生秘密にするという要求があればその通りにするつもりだ。
受任通知には、今後の連絡は弁護士を通してにしてほしいという文言が入っていて、それを彼が見逃すはずはない。それでも直接連絡してきたのは、直前までの和葉の行動との整合性が取れなかったからだろう。
こうなったらひと言自分からも謝罪しておこう。
「その話はもういいの。あのね、遼一、私、あなたに嫌な感情があるわけじゃないの。怒ってるとかそういうことじゃなくて。その……あ、歩美さんと、遼一がお見合いするっていう話を聞いたから」
向こうで遼一が息を呑む気配がした。彼がなにかを言う前に慌てて口を開く。
「嫌だとか、そう思ってるわけじゃないの。ただ……私、申し訳なくて……。福岡で、あ、あんなことお願いして本当にごめんなさい。し、知らなかったから許してなんて言えないけど……」
彼の話を聞きたくなくて、捲し立てるように言う。それでも言葉を選び、彼に対して怒りを感じているわけではないと伝える。涙が溢れて頬を伝う。
航空会社以外の空港勤務者には共同のスタッフルームがある。そこで空いている席につき、ランチ用に持ってきたおにぎりを机に出した時に携帯が震えたのだ。
昼間に彼からいきなり電話をかけてくるのははじめてだが、和葉にはその理由に心当たりがあった。
ふーっと息を吐いて、緊張しながら画面をタップして耳に当てる。
「はい」
《和葉⁉︎ あれはいったいどういうことだ?》
予想通りの彼の言葉に、和葉は彼に「ちょっと待って」断ってから席を立つ。
非常階段のマークが書かれているドアを開いて外へ出た。向こうの建物が迫る外階段のこの場所は、めったに人がこないけれど、さすがに少し寒かった。
「お待たせしました。弁護士さんからの受任通知の件ですよね」
《そうだ。弁護士ってどういうことだ? 話すと言ったのに先週連絡できなかったからか?》
彼の電話の用件が予想通りだとわかって和葉は携帯を持つ手に力を込めた。
歩美から見合いの話を聞いた和葉は、以前から調べて念のためコンタクトをとっていた親権問題に詳しい弁護士に依頼したのだ。
本当は、自分でけじめをつけたかったけれど、もう自分にはその資格はないと思ったからだ。
歩美に対して申し訳なくて、もう自分は彼に会うべきではないと思った。
とはいっても、望んでいるのは今までと同じように樹と交流してもらいたいことくらい。あとは彼の望む通りに、たとえば再会してからの件を一生秘密にするという要求があればその通りにするつもりだ。
受任通知には、今後の連絡は弁護士を通してにしてほしいという文言が入っていて、それを彼が見逃すはずはない。それでも直接連絡してきたのは、直前までの和葉の行動との整合性が取れなかったからだろう。
こうなったらひと言自分からも謝罪しておこう。
「その話はもういいの。あのね、遼一、私、あなたに嫌な感情があるわけじゃないの。怒ってるとかそういうことじゃなくて。その……あ、歩美さんと、遼一がお見合いするっていう話を聞いたから」
向こうで遼一が息を呑む気配がした。彼がなにかを言う前に慌てて口を開く。
「嫌だとか、そう思ってるわけじゃないの。ただ……私、申し訳なくて……。福岡で、あ、あんなことお願いして本当にごめんなさい。し、知らなかったから許してなんて言えないけど……」
彼の話を聞きたくなくて、捲し立てるように言う。それでも言葉を選び、彼に対して怒りを感じているわけではないと伝える。涙が溢れて頬を伝う。