裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
「取締役になったのも、そのためだった?」
彼と父親は彼の進む道を巡っても長く対立していた。
目を見開いて、和葉の問いかけを聞いていた遼一が、一瞬くっと顔を歪め、和葉の二の腕を両手で掴んだ。
「おばさんから聞いたのか?」
「うん、今日。実家に帰ってて、偶然。私、もしかしたらって思ったらいてもたってもいられなくて、樹をお母さんに預けてきたの。あなたの話を聞きたくて。遼一、教えて。あれはあなたの本心じゃなかった?」
期待と不安、それからわけのわからない感情で胸が張り裂けそうになりながら問いかけると、彼はゆっくりと頷いた。
途端に和葉は力が抜けて、その場にへたりこんでしまいそうになる。遼一に支えられてソファに腰を下ろす。
隣に座った遼一が、深い息をひとつ吐いて、話しはじめた。
「父からの条件は、婚約破棄と和葉と連絡を断つこと。それから経営者の道を歩むこと。結局パイロットの方は免許は残すという判断になったが。あの頃は父の怒りが激しくて、少しでも刺激するとすぐにでも決断しかねなかった。だから……あんな形に」
苦しげに言って遼一は顔を歪めた。
「最善の道を選んだつもりだったが、結局は和葉を傷つけた。……ごめん」
まるで自分が罪を犯したかのように謝る彼に、和葉はぶんぶんと首を横に振った。言葉が出てこなかった。代わりに涙が溢れて頬をつたう。
「だから、和葉がハワイへ行ったと聞かされた時は絶望したが、それでよかったとも思った。和葉が立ち直り幸せになれるなら、どんな形でいい。それが俺の望みだから」
そう言って寂しそうに微笑む彼の笑顔は滲んでよく見えない。
なんて大きな愛なのだろう。
どこまで深い想いなのだろう。
彼は自分だけが悪者になり、和葉と和葉の家族の犠牲になろうとしていたのだ。
「遼一、私……知らなくて。ひどいことをいっぱい言って」
自分で自分が情けなかった。
あの日彼は誓ってくれた。その言葉通りだったのに、信じることができなかった。
「ごめんなさ……」
「いいよ」
優い声音とともに温かい腕の中に抱き込まれる。髪に触れる彼の唇が囁いた。
「今こうして、君を抱きしめられるから、俺はそれで満足だ。和葉、愛してるよ」
ああ、遼一だ!と和葉は思った。
いつもいつも無条件で和葉を大切にしてくれた大好きなあの遼一だ。
彼はなにも変わっていなかったし、和葉が好きになったあの彼のままだったのだ。
彼と父親は彼の進む道を巡っても長く対立していた。
目を見開いて、和葉の問いかけを聞いていた遼一が、一瞬くっと顔を歪め、和葉の二の腕を両手で掴んだ。
「おばさんから聞いたのか?」
「うん、今日。実家に帰ってて、偶然。私、もしかしたらって思ったらいてもたってもいられなくて、樹をお母さんに預けてきたの。あなたの話を聞きたくて。遼一、教えて。あれはあなたの本心じゃなかった?」
期待と不安、それからわけのわからない感情で胸が張り裂けそうになりながら問いかけると、彼はゆっくりと頷いた。
途端に和葉は力が抜けて、その場にへたりこんでしまいそうになる。遼一に支えられてソファに腰を下ろす。
隣に座った遼一が、深い息をひとつ吐いて、話しはじめた。
「父からの条件は、婚約破棄と和葉と連絡を断つこと。それから経営者の道を歩むこと。結局パイロットの方は免許は残すという判断になったが。あの頃は父の怒りが激しくて、少しでも刺激するとすぐにでも決断しかねなかった。だから……あんな形に」
苦しげに言って遼一は顔を歪めた。
「最善の道を選んだつもりだったが、結局は和葉を傷つけた。……ごめん」
まるで自分が罪を犯したかのように謝る彼に、和葉はぶんぶんと首を横に振った。言葉が出てこなかった。代わりに涙が溢れて頬をつたう。
「だから、和葉がハワイへ行ったと聞かされた時は絶望したが、それでよかったとも思った。和葉が立ち直り幸せになれるなら、どんな形でいい。それが俺の望みだから」
そう言って寂しそうに微笑む彼の笑顔は滲んでよく見えない。
なんて大きな愛なのだろう。
どこまで深い想いなのだろう。
彼は自分だけが悪者になり、和葉と和葉の家族の犠牲になろうとしていたのだ。
「遼一、私……知らなくて。ひどいことをいっぱい言って」
自分で自分が情けなかった。
あの日彼は誓ってくれた。その言葉通りだったのに、信じることができなかった。
「ごめんなさ……」
「いいよ」
優い声音とともに温かい腕の中に抱き込まれる。髪に触れる彼の唇が囁いた。
「今こうして、君を抱きしめられるから、俺はそれで満足だ。和葉、愛してるよ」
ああ、遼一だ!と和葉は思った。
いつもいつも無条件で和葉を大切にしてくれた大好きなあの遼一だ。
彼はなにも変わっていなかったし、和葉が好きになったあの彼のままだったのだ。