裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
「失礼します」と断って、遼一が襖を開けると、和室内にいた三人の人物がこちらを注目する。
 遼一の父親でNANAの取締役社長、橘豊。
 向かい合わせに座る同じくらいの年齢の男性は和葉は見覚えはないけれど、隣に歩美が座っていることを考えると、おそらく副社長の福原だろう。
 三人とも怪訝な表情になっていた。
 遼一はともかく和葉が隣にいるからだ。
 遼一のマンションで気持ちを確かめ合った後、ふたりはこの料亭にやってきた。
 開始時間が午後四時と、やや中途半端な時間だったのは、大企業の取締役三人のスケジュールを同時に抑えるのが難しかったからだ。
「お待たせして申し訳ありません。社長、副社長、本日はご足労いただきありがとうございます」
 遼一が挨拶をして、三人と対峙するあたりの畳の上に直接座る。和葉も襖を閉めてから、彼の隣に腰を下ろした。
 三人の視線は和葉に注がれている。
 恐れる気持ちもあるけれど、それよりも和葉は、歩美がこの場にいるがつらかった。成り行きとはいえ彼女を巻き込むのが申し訳ない。
「遼一、いったいどういうことだ? 俺は、話があるからと呼び出されたんだが……その方は……もしかして」
 口を開いたのは遼一の父、豊だった。豊と和葉は面識はあるが、あまり親しく話す仲ではなかった。久しぶりすぎて確信が持てないといった様子だ。
「お話があるのは本当です。父さん。ただ歩美さんとのお見合いの件ではありません」
 遼一が、歩美の名を口にしたことに和葉の胸がドキッとする。歩美が今ままで見たことがないほど、険しい表情でこちらを見ている。
「そちらの方は……寺坂和葉さんか?」
「そうです。今日のお話に関係あるので、同席していただきました」
 遼一の答えに、福原が反応した。
「寺坂の? なぜ一緒に? いやそれよりもあの時社長が遼一くんに出した条件を違反したということか? 社長、これは由々しきことです。寺坂の刑事告訴の手続きを!」
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