裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
だから自分の罪を償いたいと思ったそうです、と遼一は小さな声で付け加えた。
「あなたのような人に息子だなどと呼ばれるのはごめんだ。私が父と呼びたいのは、寺坂元副社長です」
怒りを露わにする彼を目にして、和葉の胸が熱くなり、涙が溢れた。
彼がこの二年半をどんな思いで過ごしたか、なにを目指していたのかが、今わかった。いやわかっていたつもりだったが、本当の意味で理解した。
人生をかけたパイロットという仕事を減らし、興味はないと言っていた取締役に就任した。その間、彼はひとりこの時の準備を進めていたのだろう。
彼を可愛がっていた父と母を助けたくて。
「と、とにかく。見合いじゃないなら、私は失礼させていただく」
福原が立ち上がり、そそくさと部屋を出ていった。
沈黙の中、次に立ち上がったのは歩美だった。
「歩美さん」
和葉の呼びかけは答えず自嘲気味に呟いた。
「……結局、なにも知らないお嬢さまが勝つのね。……でもなにも知らなかったのは私も同じか」
言葉の意味は和葉にはよくわからない。
「福原さん、君がこの件についてお父さんの事情をここまで把握していなかったのはわかっている」
遼一の言葉に和葉は一瞬ホッとするが、歩美から向けられた敵意剥き出しの視線に少し戸惑う。
顔に泥を塗られたのだから当たり前といえば当たり前だが、それにしても、この状況を嘆いているというよりは和葉個人に怒りを感じているように思えたからだ。
とはいえ、気になるのは今後のことだった。
和葉は遼一に問いかける。
「歩美さんがこの件を知らなかったなら、仕事には影響ないよね? 働き続けられるよね」
余計なこととは知りながら聞かずにはいられなかった。目の前の彼女が、なにもかもを一度に失ったあの時の自分と重なった。
「和葉、だが——」
「そういうところが嫌いなのよ、和葉」
遼一を遮る低い声が歩美のものだと気がつくのに、数秒遅れ、さらに内容の意味するところもよくわからなかった。
「生まれた時から可愛がられて守られて。なにもできないくせに愛されて。あなたみたいな甘ちゃんに負けるなんて、私、絶対に嫌だった」
「あなたのような人に息子だなどと呼ばれるのはごめんだ。私が父と呼びたいのは、寺坂元副社長です」
怒りを露わにする彼を目にして、和葉の胸が熱くなり、涙が溢れた。
彼がこの二年半をどんな思いで過ごしたか、なにを目指していたのかが、今わかった。いやわかっていたつもりだったが、本当の意味で理解した。
人生をかけたパイロットという仕事を減らし、興味はないと言っていた取締役に就任した。その間、彼はひとりこの時の準備を進めていたのだろう。
彼を可愛がっていた父と母を助けたくて。
「と、とにかく。見合いじゃないなら、私は失礼させていただく」
福原が立ち上がり、そそくさと部屋を出ていった。
沈黙の中、次に立ち上がったのは歩美だった。
「歩美さん」
和葉の呼びかけは答えず自嘲気味に呟いた。
「……結局、なにも知らないお嬢さまが勝つのね。……でもなにも知らなかったのは私も同じか」
言葉の意味は和葉にはよくわからない。
「福原さん、君がこの件についてお父さんの事情をここまで把握していなかったのはわかっている」
遼一の言葉に和葉は一瞬ホッとするが、歩美から向けられた敵意剥き出しの視線に少し戸惑う。
顔に泥を塗られたのだから当たり前といえば当たり前だが、それにしても、この状況を嘆いているというよりは和葉個人に怒りを感じているように思えたからだ。
とはいえ、気になるのは今後のことだった。
和葉は遼一に問いかける。
「歩美さんがこの件を知らなかったなら、仕事には影響ないよね? 働き続けられるよね」
余計なこととは知りながら聞かずにはいられなかった。目の前の彼女が、なにもかもを一度に失ったあの時の自分と重なった。
「和葉、だが——」
「そういうところが嫌いなのよ、和葉」
遼一を遮る低い声が歩美のものだと気がつくのに、数秒遅れ、さらに内容の意味するところもよくわからなかった。
「生まれた時から可愛がられて守られて。なにもできないくせに愛されて。あなたみたいな甘ちゃんに負けるなんて、私、絶対に嫌だった」