裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
中身を確認した彼の手が震えている。
「父さん、あなたがなぜ俺に経営者としての道を歩ませたかったか、今はわかるような気がします。あなたは会社の未来のために橘家出身かどうかに関わらず能力のみを評価して役員を選抜した。その結果、親戚からは厭われて敵に回した」
遼一がため息をついた。
「出身に関わらず有能な人材で会社を動かすべきだというのは正しいが、そこには求心力が必要だ。あなたは俺にそうなってほしかったのですね」
「お前には人望がある。創業者一族であるというのも、ついていく者にとってはある意味安心な要素なのだ。社員からの納得も得られるだろう」
父の言葉に、遼一は目を閉じた。
「考えてみれば俺は、父さんの話をちゃんと聞かなかったと、この二年半で反省しました。父さんがどんな思いで会社を守ってきたのか。NANAが安全で快適な空の旅をお客さまに提供できるのは、会社経営が安定していてこそだということも改めて思い知った」
目を開いて父親に問いかける。
「おじさんに会ってみてはいかがですか?」
「し、しかし……そんなことは許されん。俺は、寺坂を」
冷酷だと言われている彼が苦しげに眉を寄せるのを見て和葉の胸が痛んだ。
会社のために友人を切り捨てた彼も二年半苦しんだのではないだろうか。
「おじさん、父はおじさんを恨んでいません。ただ……。ただとても心配そうしていました。おじさんが苦しんだことを父はわかっているから」
「和葉さん」
「今は家に……。その……私の子と一緒にいます」
迷った末に付け加えると、豊が訝しむように目を細めた。
「子……?」
「和葉と俺の子ですよ」
遼一が言い添えると彼は目を見開いた。
「お前の……?」
「そうです。父さんの孫です」
すると父親は立ち上がり、意を決したように出口へ向かった。振り返り、和葉を見た。
「その、謝罪はまた改めてさせてくれ」
そして今度こそ部屋を出ていった。
ホッとして長い息を吐いた和葉の肩を遼一が抱く。そしてふたり目を合わせて微笑んだ。
「父さん、あなたがなぜ俺に経営者としての道を歩ませたかったか、今はわかるような気がします。あなたは会社の未来のために橘家出身かどうかに関わらず能力のみを評価して役員を選抜した。その結果、親戚からは厭われて敵に回した」
遼一がため息をついた。
「出身に関わらず有能な人材で会社を動かすべきだというのは正しいが、そこには求心力が必要だ。あなたは俺にそうなってほしかったのですね」
「お前には人望がある。創業者一族であるというのも、ついていく者にとってはある意味安心な要素なのだ。社員からの納得も得られるだろう」
父の言葉に、遼一は目を閉じた。
「考えてみれば俺は、父さんの話をちゃんと聞かなかったと、この二年半で反省しました。父さんがどんな思いで会社を守ってきたのか。NANAが安全で快適な空の旅をお客さまに提供できるのは、会社経営が安定していてこそだということも改めて思い知った」
目を開いて父親に問いかける。
「おじさんに会ってみてはいかがですか?」
「し、しかし……そんなことは許されん。俺は、寺坂を」
冷酷だと言われている彼が苦しげに眉を寄せるのを見て和葉の胸が痛んだ。
会社のために友人を切り捨てた彼も二年半苦しんだのではないだろうか。
「おじさん、父はおじさんを恨んでいません。ただ……。ただとても心配そうしていました。おじさんが苦しんだことを父はわかっているから」
「和葉さん」
「今は家に……。その……私の子と一緒にいます」
迷った末に付け加えると、豊が訝しむように目を細めた。
「子……?」
「和葉と俺の子ですよ」
遼一が言い添えると彼は目を見開いた。
「お前の……?」
「そうです。父さんの孫です」
すると父親は立ち上がり、意を決したように出口へ向かった。振り返り、和葉を見た。
「その、謝罪はまた改めてさせてくれ」
そして今度こそ部屋を出ていった。
ホッとして長い息を吐いた和葉の肩を遼一が抱く。そしてふたり目を合わせて微笑んだ。