裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
「どうして怒ってたの? 私、なにがダメだったかよくわからなくて」
 あの時は、彼が和葉を愛していると知らなかったから、和葉のわがままに怒ったのだと思った。それにしても彼の言動はチグハグで、今となってはなんだったんだろうと思う。
 遼一が、少し気まずそうに口を開いた。
「嫉妬したんだよ」
「え……? 嫉妬? 誰に?」
「俺と会えなかった和葉の日々に」
「……どうして?」
 遼一が深いため息をついた。
「和葉から誘われるなんてはじめてだったから。俺と離れている間に誰かとそういうことがあったのかなと思ったら、自分を抑えられなくなっていた。怖かったな、ごめん」
 あまりにも予想外すぎて、和葉はぽかんとしてしまう。でもそうならば、彼のあの言葉は辻褄が合う。同時に彼を混乱させるほど、大胆なことをしてしまったのが恥ずかしかった。
「えーっと、変なことしてごめんなさい」
 これはさすがに幻滅だ、と思ってそう言うと彼は首を横に振った。
「いや、驚いて変な方向に勘違いしたけど、嫌ではなかったよ」
「だけど怒ってたのにお願いを聞いてくれたなんて、やっぱり遼一は私に甘いね。ふざけるなって突っぱねてくれてもよかったのに」
 というかあの時和葉は完全にそのつもりだったのだ。
 すると遼一が、今度はもっと深くて長いため息をついた。
「なに?」
「なにじゃないよ和葉。ハワイで頑張って成長したのは確かだけど、こんなところは子供のままだな。そのアンバランスさは心配だな」
「なに? なんのこと?」
 遼一の言葉の意味がわからなくて、和葉が首を傾げると、遼一が呆れたように口を開いた。
「あの時俺が和葉を抱いたのは、お願いに応えたからじゃない。理性の糸が切れたんだ。心底愛している相手にあんな風に迫られて手を出さずにいられるわけがないだろう? 普段の恥ずかしがる和葉も可愛いが、恥ずかしいのを堪えて大胆になる和葉は俺にとってはもう毒に近い。狂いそうになったよ」
「な……! へ、変なこと言わないで」
「変なことじゃない事実だ」
 真っ赤になる和葉の耳を遼一の唇が食む。大きな手がセーターの裾から侵入する。
「本当にああいうことは、誰にもしてないな?」
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