裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
空港内にコーヒーショップはたくさんあるし、ここがNANAのスタッフエリアに特別近いというわけではないが、隣のコーヒーショップはオーガニックの豆を使用した他とは違うコーヒーを提供している。味にも定評があるから、遼一はわざわざこの店にやって来るのだろう。
だとしても、と和葉は思う。
いくらなんでも三回目。HOPHOPで和葉が働き出したことに気がついたはずだ。
気に入ったコーヒーが飲みたいのはわかるけれど婚約までいって別れた元恋人と顔を合わせることになるなら、避けてもよさそうなものなのに。どうしても飲みたいなら、今はそれなりの立場なのだから誰かに頼めばいい。
こっちは避けられないのに。
和葉はもやもやとそんなことを考える。
きっと彼はこの状況に気まずさすら感じないのだろう。捨てられた元婚約者を目にして和葉が嫌な思いをするかもしれないということよりも、自分のコーヒーを飲みたいという気持ちが優先なのだ。
——馬鹿にして……最低。
もう彼を恨まない、そう決めたことを忘れて、和葉は心の中で呟いた。
「和葉、久しぶり」
カウンターの向こうから声をかけられたのは、午後七時を過ぎて少し客足が落ち着いた頃だった。
聞き覚えのある張りのある声に、パンケーキの生地の残りを確認していた和葉は振り返る。フードコートを背ににっこりと笑うスーツ姿の女性に目を見開いた。
「歩美さん、お久しぶりです!」
「久しぶり。帰国してここで働いてるって麻衣子から聞いたの」
「ご連絡したいと思ってたんですが、番号が変わっちゃってて……、すみません」
「元気そうね」
歩美はベージュのスーツにブラウンのパンプスという服装だ。地上スタッフの現場から退いて、秘書をしているというのは本当のようだ。
「はい、歩美さんもお元気そうで」
「うん、忙しいけどね。HOPHOP評判いいじゃない? SNSで話題になってたよ」
「おかげさまで」
「和葉がパンケーキ屋のオープニングスタッフって聞いた時はびっくりしたけど、しっかりやってるみたいで安心した」
まるで保護者のような言い方をするのは彼女が、和葉のNANA時代の和葉の指導係だったからだ。研修期間が終わっても、同じチームの上司としてあれこれ気にかけてもらっていた。
「その際はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。いろいろあってこうなりました」
和葉は努めて明るく言う。
歩美も遼一の和葉が婚約破棄を知っているからだ。
だとしても、と和葉は思う。
いくらなんでも三回目。HOPHOPで和葉が働き出したことに気がついたはずだ。
気に入ったコーヒーが飲みたいのはわかるけれど婚約までいって別れた元恋人と顔を合わせることになるなら、避けてもよさそうなものなのに。どうしても飲みたいなら、今はそれなりの立場なのだから誰かに頼めばいい。
こっちは避けられないのに。
和葉はもやもやとそんなことを考える。
きっと彼はこの状況に気まずさすら感じないのだろう。捨てられた元婚約者を目にして和葉が嫌な思いをするかもしれないということよりも、自分のコーヒーを飲みたいという気持ちが優先なのだ。
——馬鹿にして……最低。
もう彼を恨まない、そう決めたことを忘れて、和葉は心の中で呟いた。
「和葉、久しぶり」
カウンターの向こうから声をかけられたのは、午後七時を過ぎて少し客足が落ち着いた頃だった。
聞き覚えのある張りのある声に、パンケーキの生地の残りを確認していた和葉は振り返る。フードコートを背ににっこりと笑うスーツ姿の女性に目を見開いた。
「歩美さん、お久しぶりです!」
「久しぶり。帰国してここで働いてるって麻衣子から聞いたの」
「ご連絡したいと思ってたんですが、番号が変わっちゃってて……、すみません」
「元気そうね」
歩美はベージュのスーツにブラウンのパンプスという服装だ。地上スタッフの現場から退いて、秘書をしているというのは本当のようだ。
「はい、歩美さんもお元気そうで」
「うん、忙しいけどね。HOPHOP評判いいじゃない? SNSで話題になってたよ」
「おかげさまで」
「和葉がパンケーキ屋のオープニングスタッフって聞いた時はびっくりしたけど、しっかりやってるみたいで安心した」
まるで保護者のような言い方をするのは彼女が、和葉のNANA時代の和葉の指導係だったからだ。研修期間が終わっても、同じチームの上司としてあれこれ気にかけてもらっていた。
「その際はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。いろいろあってこうなりました」
和葉は努めて明るく言う。
歩美も遼一の和葉が婚約破棄を知っているからだ。