裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
和葉の後ろの遼一に気がついているのかいないのか、ニコニコしてこちらへやってきた。
「今帰り? おつかれー、お、樹、寝ちゃってんなー」
ひと目でわかるくらい酒に酔っている。彼はあまりアルコールに強くない。
「うん、お疲れ」
答えながら、和葉はちらりと遼一を見る。
なんだかややこしいことになってしまった。
啓を和葉の夫だと遼一が思っているであろう状況で本人と遭遇してしまうなんて。
眠る樹の頬を突いていた啓が、遼一が保育園バッグを持っていることに気がついた。
「あれ? ご近所さん?」
「空港関係者です。奥さまが職場で倒れられたところに居合わせまして、余計なお世話かと思いましたが送らせていただきました」
遼一が澱みなく答えて、ジャケットの内ポケットから名刺を取り出し啓に差し出す。夫にはキチンと説明すると言ったのを実行してくれているのだろう。
もちろん和葉のためだけではない。
倒れそうになったところを目撃して送らざるを得なくなっただけで、彼の方も和葉となにかあるなど誤解されたくはないはずだ。
一方で、そもそもそんな説明を受ける立場にない啓は、まのぬけた表情で「はあ」と言って名刺を受け取った。『奥さま』という言葉をわざわざ否定しないのは樹の父親と勘違いされることはよくあるだからだ。
とはいっても遼一を不審がる素振りはない。
道端で体調の悪い人を見かけて、家まで送るなんて日本ならあまりないことだが、ハワイの和葉が住んでいたあたりではそれほど珍しくないからだ。啓自身、大きな荷物を抱えて困っている人を見かけたら、相手が知らない人でも家まで運んでやるタイプだ。
「それはどうも。てか、かずちゃん大丈夫? しんどいならそう言って? やっぱりマミーに言ってヘルプを呼んだ方がよさそうだね。でもそしたら俺が叱られちゃうなー、かずちゃんに負担がかかり過ぎないように気をつけろって言われてたんだよね」
啓の言葉は、店長かつ従兄弟としては妥当だが、夫だと誤解しているであろう遼一にとっては能天気に聞こえたのだろう。
和葉が啓に答えるより早く眉を寄せ少し固い声を出した。
「おそらく疲労からくる貧血だと思います。ご家庭の方でも、もう少しサポートする必要があるかと」
「家庭でも……って、あんたなに?」
「今帰り? おつかれー、お、樹、寝ちゃってんなー」
ひと目でわかるくらい酒に酔っている。彼はあまりアルコールに強くない。
「うん、お疲れ」
答えながら、和葉はちらりと遼一を見る。
なんだかややこしいことになってしまった。
啓を和葉の夫だと遼一が思っているであろう状況で本人と遭遇してしまうなんて。
眠る樹の頬を突いていた啓が、遼一が保育園バッグを持っていることに気がついた。
「あれ? ご近所さん?」
「空港関係者です。奥さまが職場で倒れられたところに居合わせまして、余計なお世話かと思いましたが送らせていただきました」
遼一が澱みなく答えて、ジャケットの内ポケットから名刺を取り出し啓に差し出す。夫にはキチンと説明すると言ったのを実行してくれているのだろう。
もちろん和葉のためだけではない。
倒れそうになったところを目撃して送らざるを得なくなっただけで、彼の方も和葉となにかあるなど誤解されたくはないはずだ。
一方で、そもそもそんな説明を受ける立場にない啓は、まのぬけた表情で「はあ」と言って名刺を受け取った。『奥さま』という言葉をわざわざ否定しないのは樹の父親と勘違いされることはよくあるだからだ。
とはいっても遼一を不審がる素振りはない。
道端で体調の悪い人を見かけて、家まで送るなんて日本ならあまりないことだが、ハワイの和葉が住んでいたあたりではそれほど珍しくないからだ。啓自身、大きな荷物を抱えて困っている人を見かけたら、相手が知らない人でも家まで運んでやるタイプだ。
「それはどうも。てか、かずちゃん大丈夫? しんどいならそう言って? やっぱりマミーに言ってヘルプを呼んだ方がよさそうだね。でもそしたら俺が叱られちゃうなー、かずちゃんに負担がかかり過ぎないように気をつけろって言われてたんだよね」
啓の言葉は、店長かつ従兄弟としては妥当だが、夫だと誤解しているであろう遼一にとっては能天気に聞こえたのだろう。
和葉が啓に答えるより早く眉を寄せ少し固い声を出した。
「おそらく疲労からくる貧血だと思います。ご家庭の方でも、もう少しサポートする必要があるかと」
「家庭でも……って、あんたなに?」