裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
和葉の言葉に遼一は、頷きもせず沈黙しじっとこちらを見ている。興味がなくて反応のしようがないというよりはなにか考えているようだ。
強い視線と意味不明の沈黙に和葉が耐えられないと思った時、ようやく彼は口を開いた。
「子供の父親は……俺か?」
その問いかけは、あまりにも唐突かつ核心を突きすぎていて、和葉は瞠目する。
「……ち、違います。婚約破棄後に出会った方です。……一緒に渡米しましたが、結局結婚には至りませんでした。今はひとりであの子を育てています」
動揺を悟られぬように頭をフル回転させながら歩美に説明したのと同じストーリーを伝えるが少し声が震えてしまう。
「恋人とハワイへ行ったという話は弁護士から聞いた。それがさっきの方だろう? 写真つきで報告を受けた。君が日本を離れるまでに接触した男性は彼だけのはずだ」
「どうしてそんなこと……」
知ってるの?と言いかけて、ハッとする。
「もしかして、見張っていたんですか? 私の話……疑ってたの?」
思わず責める口調になる。嫌悪感を隠せなかった。
妊娠を悟られたくなくて弁護士についた嘘はすんなりと受け入れられた。それ以上のやり取りはなくなったから向こうは信じたのだと思っていたけれど、実はそうではなかったのか。
確かに当時、母親と一緒に来日して数カ月日本に滞在していた啓と和葉はよく行動をともにしていた。彼にとっては何年かぶりの東京だったから新しいスポットの案内をしてほしいと頼まれたのだ。
婚約破棄以降、塞ぎ込んでいる娘を心配した母からの勧めもあり、体調をみながらできるだけ出かけるようにしていたのだ。
家にいたら気が滅入って変なことを考えてしまいそうだった和葉にとっても、明るい性格の啓の存在はありがたかった。
あの頃に調査されていたとしたら、啓を和葉の新恋人として誤解されてもおかしくない。叔母と啓との親戚付き合いは寺坂家では長らく周りに言ってなかった。
だとしたら遼一は、エレベーターで会ったこととは関係なくはじめから啓を樹の父親だと思っていたのか。お腹の底からムカムカと怒りの感情が込み上げてくるのを感じながら和葉は遼一を睨んだ。
「素直に婚約破棄に応じたのに……最低」
「突然、恋人ができたからハワイに行くと言われて鵜呑みにできるわけがないだろう」
当然のことをしたまでだといった彼の態度に、ますます和葉は腹が立った。
強い視線と意味不明の沈黙に和葉が耐えられないと思った時、ようやく彼は口を開いた。
「子供の父親は……俺か?」
その問いかけは、あまりにも唐突かつ核心を突きすぎていて、和葉は瞠目する。
「……ち、違います。婚約破棄後に出会った方です。……一緒に渡米しましたが、結局結婚には至りませんでした。今はひとりであの子を育てています」
動揺を悟られぬように頭をフル回転させながら歩美に説明したのと同じストーリーを伝えるが少し声が震えてしまう。
「恋人とハワイへ行ったという話は弁護士から聞いた。それがさっきの方だろう? 写真つきで報告を受けた。君が日本を離れるまでに接触した男性は彼だけのはずだ」
「どうしてそんなこと……」
知ってるの?と言いかけて、ハッとする。
「もしかして、見張っていたんですか? 私の話……疑ってたの?」
思わず責める口調になる。嫌悪感を隠せなかった。
妊娠を悟られたくなくて弁護士についた嘘はすんなりと受け入れられた。それ以上のやり取りはなくなったから向こうは信じたのだと思っていたけれど、実はそうではなかったのか。
確かに当時、母親と一緒に来日して数カ月日本に滞在していた啓と和葉はよく行動をともにしていた。彼にとっては何年かぶりの東京だったから新しいスポットの案内をしてほしいと頼まれたのだ。
婚約破棄以降、塞ぎ込んでいる娘を心配した母からの勧めもあり、体調をみながらできるだけ出かけるようにしていたのだ。
家にいたら気が滅入って変なことを考えてしまいそうだった和葉にとっても、明るい性格の啓の存在はありがたかった。
あの頃に調査されていたとしたら、啓を和葉の新恋人として誤解されてもおかしくない。叔母と啓との親戚付き合いは寺坂家では長らく周りに言ってなかった。
だとしたら遼一は、エレベーターで会ったこととは関係なくはじめから啓を樹の父親だと思っていたのか。お腹の底からムカムカと怒りの感情が込み上げてくるのを感じながら和葉は遼一を睨んだ。
「素直に婚約破棄に応じたのに……最低」
「突然、恋人ができたからハワイに行くと言われて鵜呑みにできるわけがないだろう」
当然のことをしたまでだといった彼の態度に、ますます和葉は腹が立った。