裏切りパイロットは秘めた熱情愛をママと息子に解き放つ【極上の悪い男シリーズ】
 送ってくれたことは感謝するが、それとこれとは別問題。
 一方的に婚約破棄しておきながら、こちらの話を疑って身辺を調査していたなんて本当に最低な人、つくづく男を見る目がなかったと過去の自分を引っ叩きたくなるくらいだ。
「子供がいるのは君が帰国してからはじめて知った。子供の年齢から考えても、さっきの彼がただの従兄弟なら父親の可能性があるのは……」
「あなたには関係ありません! もう放っておいてください」
 言葉を強く遮って、和葉はこれ以上詮索しないでほしいと態度で示す。知られたくないというよりは、怒りの感情が優っている。
「そういうわけにいかないだろう。あの子が、俺の子だとしたら——」
「だとしても、関係ないと言ってるんです!」
 思わず声を荒げると、遼一が目を見開いた。
 一瞬、強く言いすぎたかなという考えが頭をよぎるけれど出た言葉は本心だ。
 和葉は樹を自分だけの子だと思い生むと決意した。そうでなくては決心できなかっただろう。生まれてからもそう思って育ててきたし、これからもずっとそうだ。
「樹は私ひとりの子です。それ以外の事実はありません。帰ってください。送ってくださったことは感謝しますが、これ以上詮索されるのは迷惑です」
 彼が樹の出自について知りたがるのは、保身の気持ちからだ。捨てた女が自分の子供を生んでいたという事実は、彼の社会的な信用に影響する。
「子供の件であなたにご迷惑をおかけすることは絶対にないとお約束します。だから放っておいてください」
「そういう意味で言っているのではない」
 苛立たしげに彼は答える。
 じゃあどういう意味かと聞き返す気にはなれなかった。なにを言われたとしても彼の言うことなど信用できないから。
「ご心配なら、あの弁護士さんに頼んで合意書でも書かせたらどうですか? いくらでも書きます。もう一生あなたには関わりませんって」
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