【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 ジェイラスたちもそれぞれ寝床を与えられてはいたが、だからといってぬくぬくしていてはならない。王太子がサバドを訪れたというのは、派手なパレードによって周知されているし、ここぞという今を狙って襲撃をかけてくる者もいるかもしれない。
 だから近衛騎士たちは交代で見張りに立ち、いつでもランドルフの盾になれるようにと、控えている。
 ジェイラスは早朝、部下と見張りを交代した。少し仮眠を取り、ランドルフの視察にも護衛として付きそう。仮眠の前に、ふらりと外に出た。
 アリシアがいなくなってからというもの、寝付きが悪い。寝台で横になっても、寝たのか寝ていないのか、意識の狭間を行き来するばかりだ。
 だからランドルフからは顔がひどいと言われるのだ。
 いつものように寝つけそうにないと思い、気持ちを落ち着けるため庭に出た。早朝の爽やかな風が庭園の花を揺らし、穏やかな時間が流れる。草花の擦れる音すら心地よい。
 突然、羽音が聞こえ、ジェイラスは空を見上げた。
「……んっ?」
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