【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 門の前に荷車が止まっている。
「どこの業者でしょう?」
 どちらにしろ、門をくぐらなければシアは家には帰れない。自然とその荷車に近づく形になる。
「どうかされました?」
 荷車の男に声をかけたのはフランクだ。
「もンクトン商会の人? ワたし、荷物をモってきた。ドこに、運ぶ、いい?」
 拙い共通語だ。ところどころに、訛りを感じる。慣れぬ共通語を使うギニー国の商人に多い。
「荷物? いったいなんの荷物でしょうか? この時間、荷物が届くとは聞いていないのですが」
 フランクが慎重に対応を始める。
「香シン料とマ石ね。こレ、注文書」
 男が注文書を見せてきたので、フランクがじっくりとそれを確認する。シアも顔を寄せて、ボブのサインを確認した。
「……サインは本物のように見えますね」
 シアがこそっとフランクの耳元でささやくと、フランクも小さく頷く。
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