【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 日に日に彼の顔色が良くなっていくのを見ると、アリシアも次第にその状況を受け入れていった。
 ある日、彼がこう切り出した。
『俺と結婚を前提に付き合ってほしい。おまえがそばにいると、俺の心が安らぐんだ』
 こうして彼の恋人となったアリシアだったが、付き合い始めた当初は、それが自分の妄想ではないか、都合のいい夢ではないかと、何度も疑ったものだ。
 何よりも相手は憧れの近衛騎士団長だ。女性からの人気もすこぶる高く、国王や王太子からの信頼も厚い。そのような立派な方に自分のような下っ端騎士がふさわしいとは、どうしても思えなかった。
 アリシアはジェイラスとの交際を秘密にしていた。ジェイラスも自分の立場をよく理解しており、信頼できる相手にしか打ち明けていなかったようだ。
 それでもひそかな交際は順調だった。昨日もドレスアップして彼の隣に立ち、幸せなひとときを過ごした。
 もしかしたら、アリシアとジェイラスの関係が周囲に知られてしまったかもしれない。それでもいい、むしろ知ってほしい。
 そのくらい気分は高揚していた。
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