【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 モンクトンの屋敷が見えてきて、シアは迷わず裏口に回る。裏口から少し離れた場所に先ほどの荷車が置いてあった。だが、その荷車には荷物が積まれたままだ。
「あ、シアさん? どうされました? 帰ったはずでは?」
 裏口から入るとすぐに使用人たちの控え室があり、そこにいた一人の女性がシアに気がついて声をかけてきた。
「あの……先ほど、ギニー国の商人が、品物を運んできませんでしたか?」
「はい、納品に来ました」
「その人はどこに?」
「それが……品物の確認をしている間に、いなくなってしまって……帰ったのでしょうかね?」
 シアは眉根をぎゅっと寄せて、思案する。
「あ、では探してきます!」
 そう言ってシアはその場を離れた。
 確実にあの商人の狙いは、晩餐会だ。屋敷に入り込み、会場のどこかで息をひそめている。
「シア。ギニー国の商人を見かけなかったか? 納品の品物を会長に確認してもらっている間にいなくなってさ」
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