【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
5.
ボーン、ボーン、ボーン……。
時を打つ柱時計の重厚な音が、遠くから響いてきた。
はっと目を開けたシアは、ここはどこだと思案する。部屋は明るい。それに見たことのある部屋だ。
どうやら自分は寝台で横になっていたようだ。身体を起こそうとしたとき、ズキリと肩が痛み、身体は鉛のように重い。
「うっ……」
予想外の痛みに、シアは息を呑んだ。
「お目覚めですか? シアさん」
「あ……サマンサさん……」
サマンサはモンクトン家で働く年配の侍女だ。コリンナがギニー国から連れてきたと聞いている。コリンナが嫁いだばかりの頃は、ボブに対して不満を隠さなかったサマンサだったが、彼の誠実さとコリンナへの深い愛情を目にするうちに、この屋敷での生活を受け入れるようになったらしい。
「あっ……」
シアの足元にしがみつくようにして、ヘリオスが眠っていた。幼い寝息が、部屋の静けさに溶け込んでいる。
時を打つ柱時計の重厚な音が、遠くから響いてきた。
はっと目を開けたシアは、ここはどこだと思案する。部屋は明るい。それに見たことのある部屋だ。
どうやら自分は寝台で横になっていたようだ。身体を起こそうとしたとき、ズキリと肩が痛み、身体は鉛のように重い。
「うっ……」
予想外の痛みに、シアは息を呑んだ。
「お目覚めですか? シアさん」
「あ……サマンサさん……」
サマンサはモンクトン家で働く年配の侍女だ。コリンナがギニー国から連れてきたと聞いている。コリンナが嫁いだばかりの頃は、ボブに対して不満を隠さなかったサマンサだったが、彼の誠実さとコリンナへの深い愛情を目にするうちに、この屋敷での生活を受け入れるようになったらしい。
「あっ……」
シアの足元にしがみつくようにして、ヘリオスが眠っていた。幼い寝息が、部屋の静けさに溶け込んでいる。