【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「フランクさんがヘリオス坊ちゃんを連れてきたのですが……シアさんから離れなくて。仕方なく、そのままにしておきましたら、眠ってしまわれたようです」
 ここはモンクトンの屋敷にある客室だ。シアが今のアパートメントに移り住む前に使っていた部屋。
「今は、何時でしょう?」
「えぇ、夜の十時です。シアさんは三時間ほど、眠っておられました。着替えは私のほうでさせていただきました。その……服がやぶけておりましたので……」
 サマンサが言うように、シアはガウンを羽織っていた。肩の傷を覆う包帯が、ガウンの下でかすかに感じられる。
「何から何まで申し訳ありません。ありがとうございます」
 シアが礼を口にすると「とんでもございません」とサマンサは笑顔で返す。
「今、人を呼んできます。起きたら、薬を飲ませたいとおっしゃっていたものですから」
 サマンサの話を聞いて、シアも記憶を探った。
 フランクにヘリオスを預け、モンクトン商会の屋敷にやってきた。そこで晩餐会が行われている大広間に行き、刺客に狙われた王太子をかばい、肩に矢がかすった。かすっただけだから、大した怪我ではないと思っていたのだ。
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