【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 モンクトン商会の使用人に声をかけると、ぐったりとしたアリシアの姿を見て彼らは慌てふためき、すぐに人を呼びに行った。
 会長夫人のコリンナだ。客室を使うようにと、案内してくれた。
 ランドルフも屋敷内の安全な部屋へと移動したようだ。会長は青白い顔をしていたが、状況を考えればそれも仕方あるまい。
 だがランドルフは決して会長を責めないはずだ。むしろ、アリシアが身を挺してかばったことを評価するだろう。
「すまない。彼女の手当をしたいのだが……」
 ジェイラスはアリシアの服を脱がせることに躊躇いを感じていた。この状況で自ら手を下すのは適切ではないとわかっていた。
 だから誰か女性に手伝ってほしかった。
「では、手伝いを呼びます」
 そう言ってコリンナは年配の女性を呼んだ。
 それからジェイラスは持ち歩いている解毒薬を彼女の患部に塗り、包帯を巻くようにと指示を出した。薬のにおいが室内に広がる。
「彼女の目が覚めたら教えてほしい。解毒剤を飲んでもらう必要がある」
「わかりました。ありがとうございます」
 礼を口にして深々と頭を下げたのはコリンナだった。
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