【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 だが、ただ養われるだけの生活をシア自身が嫌がったため、養護院で子どもたちに勉強を教える役割を与えたが、これが彼女にとっては天職だったようだ。彼女の下で学んだ子どもたちは、国内外問わず活躍しているらしい。
 これはランドルフから見せられた報告書の内容とも一致している。
 ジェイラスはボブから話を聞けば聞くほど、複雑な感情に支配された。アリシアはここで新たな生活を築き、重要な役割を果たしている。
 だが、ジェイラスは彼女の過去を呼び戻したい。その結果、今の生活を奪うかもしれない。
 その葛藤が、彼の心を重くした。
「だから、私はあの記憶喪失が魔法のせいではないかと思ったのですよ」
 そこでボブは顔を曇らせた。
 魔法は魔力を用いる。また、魔力が込められた石を魔石と呼んでいるが、魔法が使えぬ人間も魔石の力を利用することはできる。
 しかし稀に、魔力を備えている人間がいて、そういった者たちが魔法を使えるのだ。
「シアの失われた記憶は、彼女自身に関するものだけです。ここに来るまでの記憶をすべて失ったなら、この街がどこで、どんな場所なのかもわからないはず。だが、彼女はサバドの街の代表の名を知っていた。この街の特徴も、ギニー国の言葉も理解している。わからないのは、シア自身のことだけ。息子の父親すら覚えていない」
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