【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「では、よろしくお願いします」
「承知した」
 だが養護院からシアの暮らすアパートメントまでは歩いてほんの数分。暗くなる前に家路を急ぐ者たちとすれ違う。年齢も性別もさまざまな人たち。中には親子連れや夫婦、恋人たちの姿もある。沈みかけの太陽が背中を押し、身体もぽかぽかと温かい。
 他の人たちから見れば、シアたちも親子に見えるのだろうか。
 ジェイラスが近くにいると、心が乱される。
「あ、ここで、大丈夫です。リオ、おうちに着くから、ここからは歩いていきましょう」
「や。おうちまで」
 ヘリオスは絶対に離さないという強い意志を見せ、ジェイラスにしがみついた。
「どうしちゃったの? リオ……」
「まあまあ、俺は気にしないから。家まで送る」
 シアはヘリオスにじっと視線を向けてみたが、幼い息子はジェイラスに顔をすり寄せて今にも眠りそうだった。
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