【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 そこでアリシアはひらめいた。いくら騎士として鍛えているアリシアであっても、一人で四人は多勢に無勢。
 ピーっと指笛を吹く。
 するとどこからか羽音が聞こえてきたかと思うと、わっと一斉に鳥たちが男らに襲いかかる。
 ピーチクパーチク、チュンチュンチュン、バッサバッサと、一羽一羽は小さな個体であっても数が揃えばそれなりの脅威となる。
「今のうちにこちらに」
 アリシアは男の油断した一瞬をつき、母子の手を引いた。急ぎ足で路地を抜け出し、街を巡回する騎士の姿を見つけ出した。
 アリシアは近づき、息を整えながら告げた。
「路地裏に怪しい男がいて、善良な市民を脅しています」
 やがて明るい広場にたどり着いた。人々の笑い声や道化師の声が響き、活気が辺りを包んでいる。
 アリシアはそこで母子の手をそっと放し、ほっとした表情で彼女たちを見つめた。
「ここまで来れば大丈夫だと思うのですが……」
「ありがとうございます、ありがとうございます」
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