【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 低く落ち着きのある声の主はジェイラスだ。
「すみません、すっかりと寝入ってしまって」
「いや、慣れない移動で疲れたのだろう。今日はゆっくり休むようにと、殿下もおっしゃっていたよ」
 そこでジェイラスは手にしている籠を、シアに見せつけるように掲げた。
「お菓子、もらってきた。食べないか?」
 その言葉にお腹が刺激され、空腹を覚えた。
「では、お茶を淹れますね」
「ヘリオスはまだ眠っているのか?」
「そのようですね。眠くないと言っていたのに、ジェイラスさんが部屋を出ていってすぐに抱っこをせがんできて。そのまま二人で寝てしまいました」
 ヘリオスと一緒にお菓子を食べたかったのだろうか。シアの話を聞いたジェイラスは、少しだけ寂しそうに目尻を下げた。
 トレイの上にお茶の用意をして、ジェイラスが待つソファへと向かう。
< 260 / 375 >

この作品をシェア

pagetop