【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
3.
その人たちをひと目見た瞬間、せつなさが込み上げてきた。心の奥の閉ざされた扉が、そっと開くような感覚に襲われる。
「アリシア……」
落ち着いた翡翠色のドレスを身につけ、金色の髪を一つにまとめた夫人は、目に涙をためて今にも倒れそうだった。その華奢な身体を、隣に立つ男性が静かに支える。
「ガネル夫人、先ほどお話ししたように、彼女には自身に関する記憶がいっさいないようだ」
ランドルフの落ち着いた声が、室内に響く。
「彼女がアリシア・ガネルであるという確かな証拠が欲しい」
その言葉に促され、夫人が嗚咽をもらしながら、震える声で言葉を紡いだ。
「アリシアは……右耳の後ろに黒子があります。二つ並んでいて……夫と同じ場所にあるから、親子なんだと……あの子の髪を結わえたときに……」
夫人の声は、過去の思い出に浸るように震えている。ランドルフは近くにいた侍女に目配せし、確認するようにと指示を出す。
「失礼いたします」
「アリシア……」
落ち着いた翡翠色のドレスを身につけ、金色の髪を一つにまとめた夫人は、目に涙をためて今にも倒れそうだった。その華奢な身体を、隣に立つ男性が静かに支える。
「ガネル夫人、先ほどお話ししたように、彼女には自身に関する記憶がいっさいないようだ」
ランドルフの落ち着いた声が、室内に響く。
「彼女がアリシア・ガネルであるという確かな証拠が欲しい」
その言葉に促され、夫人が嗚咽をもらしながら、震える声で言葉を紡いだ。
「アリシアは……右耳の後ろに黒子があります。二つ並んでいて……夫と同じ場所にあるから、親子なんだと……あの子の髪を結わえたときに……」
夫人の声は、過去の思い出に浸るように震えている。ランドルフは近くにいた侍女に目配せし、確認するようにと指示を出す。
「失礼いたします」