【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 ジェイラスが説明するには、アリシアの不在は「第二騎士団の諜報活動によるもの」とされ、表向きは休職扱いだったという。複雑な設定に、シアは頭を整理するのに時間がかかった。
 またぽっぽちゃんは、第二騎士団で管理する伝書鳩の一羽だった。今は、他の鳩と一緒に鳩小屋に戻っているらしい。
 そのまま宿舎に向かった。アリシアを知る顔が「久しぶり」「懐かしいわね」「どうしたの?」と声をかけてきたが、ジェイラスが「任務だ」とぼそりと答えると、彼女たちは何かを察したように会話を切り上げた
 必要な物だけを持ち、ジェイラスの私室に戻ると、窓から差し込む夕陽が部屋をオレンジ色に染めていた。
「ヘリオスを迎えにいってくる」
 ヘリオスはランドルフが連れていったまま。相手が王太子ならば、ジェイラスに任せるのがいい。
 ジェイラスも部屋を出ていったため、シアがぽつんと一人、残された。
 宿舎から必要なものとして騎士服を持ってきたが、手入れがされておらず、埃っぽいにおいが鼻につく。着るには手入れが必要だが、時間だけはたっぷりある。
 他には、机の上に置いてあった手紙が気になった。どうやらジェイラスに宛てて書いたものらしいが、シアにはさっぱり記憶がない。となれば、これは間違いなく三年以上前に書いたもの。
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