【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 ジェイラスに渡そうか悩んだが、なぜかシアの中のアリシアがそれを拒んだ。だから隠すようにして持ってきた。
 それに、何が書いてあるのか興味があった。もしかしたらこの手紙によって、記憶が戻るかもしれない。
 とにかく魔法による記憶解析の前に、シアとアリシアを繋ぐきっかけを手にしておきたかった。
 好奇心と恐怖が混じる中、シアは誰もいないことを確認し、そっと封を開けた。
【結婚の話はなかったことにしてください。
 騎士団を辞めて、実家に帰ります。
 今までありがとうございました。
 私のことは、忘れてください――】
 手紙の内容に、呼吸を忘れてしまうくらいの衝撃が走った。文字は読めるが、内容を理解することを頭が拒んでいる。
 だが、筆跡は間違いなくシアのもの。記憶がなくても筆跡は変わらなかった。だから、自分が書いた文字だとわかるのだが。
(アリシアはジェイラスさんと別れたがっていた?)
 ドクンドクンと心臓の音が異様に大きく聞こえる。開けてはいけない厄災の箱を開けてしまった気分だ。
(どうして? アリシアに何があったの? でもジェイラスさんは、別れ話については何も言ってなかったし……)
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