【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 ソファに押し倒されものの、ジェイラスの激しい口づけは終わらない。
 ざわめく感覚が、記憶の蓋をこじ開けようとしている。
「アリシア……会いたかった……こうやって、触れたかった……」
 ジェイラスが胸元に顔を寄せる。
 それ以上は受け入れていけないと思いながらも、どこか恍惚とした優越感がシアを支配する。
「やぁ……ラス……んっ」
 アリシアがジェイラスの名を呼んだところで、彼の動きが止まった。滾るような情欲を宿した瞳が、歓喜に震えながらシアを見下ろした。
「シア……記憶が戻ったのか?」
 彼の獣じみた眼差しが、歓喜に震えている。
 彼が見ているのは、過去のアリシアだ。今のシアではない。
 胸の熱が一気に冷め、虚しさが押し寄せた。
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