【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
6.
あの夜のことがあっても、ジェイラスの態度は変わらなかった。シアもまた、できる限り普段どおりに振る舞おうと努めた。だが、心の奥では、あの激しい口づけと過去のアリシアへの嫉妬が、静かな波のように揺れ続ける。
ジェイラスから、魔法師による記憶解析が三日後に決まったと告げられた。
魔法師とて魔力が無限にあるわけでもない。前の仕事が終わり、休みを挟んで魔力が回復したところで、記憶解析を行う予定のようだ。
シアの胸には、期待と不安が絡み合う。記憶を取り戻せば、過去のアリシアになれるかもしれない。だが、それで本当に自分が幸せになれるのか、確信が持てなかった。
それまでの間、シアはヘリオスとジェイラスの私室で過ごした。しかし、何もすることがない。
彼から「外に出るな」とは言われていないが、許されているのは庭だけ。
ジェイラスは近衛騎士団の執務室にこもり、たまった仕事を片づけている。書類の山に囲まれた彼の姿を想像すると、シアは申し訳なく思った。団長としての責任を考えたら、彼の多忙さは当然だ。そんな彼を振り回していたことに、罪悪感が募る。
「ジェイラスさんがサバドにいた間、騎士団はどうしていたのですか?」
シアは思い切って尋ねてみた。
ジェイラスから、魔法師による記憶解析が三日後に決まったと告げられた。
魔法師とて魔力が無限にあるわけでもない。前の仕事が終わり、休みを挟んで魔力が回復したところで、記憶解析を行う予定のようだ。
シアの胸には、期待と不安が絡み合う。記憶を取り戻せば、過去のアリシアになれるかもしれない。だが、それで本当に自分が幸せになれるのか、確信が持てなかった。
それまでの間、シアはヘリオスとジェイラスの私室で過ごした。しかし、何もすることがない。
彼から「外に出るな」とは言われていないが、許されているのは庭だけ。
ジェイラスは近衛騎士団の執務室にこもり、たまった仕事を片づけている。書類の山に囲まれた彼の姿を想像すると、シアは申し訳なく思った。団長としての責任を考えたら、彼の多忙さは当然だ。そんな彼を振り回していたことに、罪悪感が募る。
「ジェイラスさんがサバドにいた間、騎士団はどうしていたのですか?」
シアは思い切って尋ねてみた。