【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「私では力不足かもしれませんが……私がジェイラスさんを愛します。あなたは、愛されるために生まれてきた子だよって、伝えます」
 ジェイラスの肩がぴくりと震える。
「……そうだな。俺はきっと、君と出会うために生まれてきたのかもしれない」
 顔も上げず、くぐもった声で答えるジェイラスの背を、シアはやさしくなでる。以前、彼がそうしてくれたように。
「クラリッサ様とお話をして、私も前向きになろうと思いました。ジェイラスさんの隣に立つ人間にふさわしくないと思っていましたが、ふさわしくないならふさわしい人間になればいい。そのためにも、記憶を取り戻したいのです」
 そこでシアは「あ」と声をあげる。
「あの……ジェイラスさん。本当は伝えるかどうか迷っていたのですが……」
「なんだ?」
 そこで彼が顔を上げた。紫眼が少しだけ潤んでいる。
「お見せしたいものがあります」
 すると今度は、紫の瞳が不安そうに揺れた。
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