【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 シアが記憶解析を行っている間、ヘリオスはアンドリューと遊んで待つことになった。
 解析が行われる部屋は王城の奥深く、石壁に囲まれた静かな空間。魔石ランプが青白い光を放ち、冷たく重い空気が漂う。
 この場には、シアとジェイラス、そしてランドルフ。魔法師として師長のエイミと副師長のホーガンの五人が集まった。
「ほんと、ルフィとジェイの頼みだから引き受けたって感じなんだけど……なんなの、この子……」
 シアが引くくらいに顔をずいっと近づけてきたのが魔法師長エイミである。腰まで届く闇のような黒い髪、切れ長の黒い目に、艶やかな唇が異様な存在感を放つ。ドレスの上に白衣を羽織っているが、強調された胸元がシアの目を引いた。彼女の強烈な雰囲気に、シアは思わずたじろいだ。
「どうだ? できそうか?」
 ジェイラスがむすっとしたままエイミに問いかける。
「そのできそうって、どういう意味のできそうかしら? 記憶解析はするまでもないけど……それはできる。だけど、この魔法を解除しろというのは、今すぐには無理ね。いえ、これは魔法というよりは……」
 エイミはシアに向かって人差し指を突きつけた。黒く塗られた長い爪が、目の前に迫る。そのまま指で宙に五角形を描くと、対角線が光を放ち、星型を形成した。星型の光はシアの額にひゅっと吸い込まれる。
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