【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「えっ?」
 シアの頭の中に白いもやがかかった。もう少しで何かが思い出せそうなのに、そのもやが邪魔をして見えてこない。
「何か、思い出したかしら?」
「あ、いいえ……」
 エイミに声をかけられ、シアは戸惑いをみせた。思い出したかと問われても、頭の中はもやに覆われていて何も見えない。
「うん。間違いないわ。この子、呪詛によって記憶を操作されているわね。今、記憶回路を刺激したんだけれど、反応がまったくない」
 両手を腰に当て「どうだ」と言わんばかりに、エイミは胸を張る。だからつい、シアは強調された胸元に視線がいってしまう。
「偽物だ」
 ランドルフがぼそりと呟き、シアは思わず彼を見た。
「エイミのそれは偽物だ。そしてこいつは、こう見えても男だから、騙されるな。エイミとはこいつが自分で勝手に決めた名前だ。本当の名は――」
「ちょっとルフィ。これはあたしのアイデンティティ。見た目と性別と名前なんて、今は関係がないでしょ」
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