【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 ジェイラスはランドルフに感謝をしている。
 そういった存在が、自分の子どもにいればいいなという、ささやかな理想でもあった。
「遅くまでお疲れ様です」
 ジェイラスが部屋に戻ると、それに気づいたアリシアが声をかけてくる。寝ていてもいいというのに、ジェイラスと話をしたいから起きて待っていると言ったのだ。それを聞いただけでも、胸に熱いものが込み上げてきた。
 ジェイラスは自分の感情を言葉にするのが苦手だ。アリシアに対してはなおのこと。余計なことを言って、彼女に嫌われたくなかった。
 そして彼女は、何ごとにおいても我慢して、言葉を呑み込む女性だった。
 ジェイラスが彼女に惹かれたと自覚し、告白したときも「無理です」「釣り合いません」と何度も断られた。
 それでもジェイラスは粘った。
 ――変化を恐れていては前には進めない。
 これはアリシアとの関係をランドルフに相談したとき、彼から言われた言葉である。
 アリシアのことが好きなのだが、彼女に気持ちを伝えたことで、今の関係が壊れるのが怖いだのなんだのうだうだと言い訳していたら、ランドルフがそう言ってきた。
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