【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 この言葉がなければアリシアの心を開けなかっただろう。悩みながらも彼女は、ジェイラスの気持ちを受け入れてくれた。
 無理だの釣り合わないだの言っていたアリシアだが、ジェイラスを嫌っているわけではない、というのもランドルフの見解だった。
 アリシアとの仲が進展したのはランドルフのおかげと言っても過言ではない。
 そこから密かな交際は始まり、順調だと思っていたはずなのに――。
 アリシアから見せられた三年前の手紙は衝撃的だった。
 だが、今、目の前にアリシアがいる。三年前に彼女に何があったかはわからないが、ここに存在する彼女がすべてなのだ。
「どうされました?」
 ジェイラスを見上げるキャメル色の澄んだ瞳は、以前と何も変わっていない。ソファでごろりと寝転んで、アリシアの膝の上に頭を預けた。
「ジェイラスさんとヘリオスはよく似ています」
 ランドルフがいたから、生きていてもいいかなと思った。アリシアと出会ったから、生きていてよかったと実感した。ヘリオスの存在を知って、生きなければと決意した。
「不自由な思いをさせて申し訳ない」
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