【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「団長!」
 部下が慌てて飛び込んできた。扉が勢いよく開き、書類がひらりと床に落ちた。
「なんだ? 騒々しい」
「団長そっくりの男の子を保護したのですが……団長のお子さんでしょうか? もしくは、ご兄弟……」
 ヘリオスだろう。だが、部下が困惑しているのは、ジェイラスが独身で恋人もいないと思っているからだ。
 アリシアとの関係は、一部の者しか知らない。
「近くに母親はいないのか?」
 ヘリオスだとしたら、必ず近くにアリシアがいるはずだ。彼女がヘリオスを放ってどこかに行くなど考えられない。
「はい。男の子一人です。泣きながら母親を探しているようでして……その子が団長の名前を叫んでいたものですから……」
「わかった。その子どものところに案内しろ」
 ジェイラスが部下に案内された場所は、彼らの休憩室だった。近づくにつれ、子どもの泣き叫ぶ声が聞こえてくるが、間違いなくヘリオスの声だ。
「ラシュ、ラシュ」
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