【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 コリンナがアリシアを紹介するとフランクは「ありがとうございます、ありがとうございます。奥様とお嬢様に何かあれば、僕が旦那様に殺されてしまうところでした。あなたは命の恩人です」と手を握られながらわけのわからぬ感謝のされ方をした。だが、彼の手に触れてわかった。彼もかなりの剣の使い手のようだ。
 モンクトン商会の馬車は、しっかりとした造りで立派なものだった。これならば長時間座っていてもお尻が痛くならないのでは、とアリシアは少しだけウキウキしていた。なにしろ、ここからサバドまで馬車で三日かかるのだ。夜間は中継点で休むが、コリンナが言うにはきちんとした宿を用意してあるとのこと。さすが、モンクトン商会だ。きっとその関係の宿に違いない。
 乗り合い馬車なら、納屋のような場所で雑魚寝しなければならなかっただろう。
 それを思えば、コリンナの要求を受け入れてよかったのだ。
 馬が二頭立ての馬車には、コリンナとシェリーの親子、侍女のサマンサ。そしてアリシアとフランク。御者兼護衛の男性が二人。
「シアさんは、どのような仕事をされていたの?」
 コリンナはもてあます時間を埋めるかのように、アリシアに質問してくる。
「あ、えと……人に教える仕事です」
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